「メンズバスケット」の開発に関する共同研究
豊田修身
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・阿部優
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・君山和高
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・中臣 一
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・遠藤 元
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・伊藤明日香
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・清水貴之
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大分県竹工芸・訓練支援センター・
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「メンズバスケット」開発研究グループ
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要
旨
若手工芸家を中心にした「メンズバスケット」開発研究グループでは,男性的な感覚のバッグ,カバン,書類入れ
などの「メンズバスケット」の開発を試みた.メンバーの代表は本研究で開発を試みようとしているものの原型とな
るショルダー型の竹バスケット試作に取り組んだ経緯があり,その製品を常時携行する中で「メンズバスケット」の
商品としての可能性を確信した.技術的及びデザイン的課題を解決して製品化を図るために企業ニーズ対応型研究事
業に申請して竹工芸・訓練支援センター研究指導課と共同で研究を行った.
1.
はじめに
申請されたメンズバスケットの開発研究の内容は,製品
化する上での課題として次の3点が挙げられていた.
①屋外の人混みなどに耐えうる強度を持つ構造の追及
②男性的な形態を生み出すデザインの研究
③製品の付加価値や品質に大きく影響を与 える金具等
の副資材に関するノウハウの習得
そこで,共同研究の分担として①の強度を持つ構造の課
題の解決には,竹の編組技術の研究と共に木や皮革などの
異素材との組み合わせによる解決を考える必要があるの
で,竹工芸・訓練支援センター研究指導課(以下,竹セン
ターと略す)と「メンズバスケット」開発研究グループ(以
下,グループと略す)で共に重点的に取り組むことにした.
②のデザインの研究は,企業側に技術蓄積がないので,
企業と共にデザインプロセスを研究する場として竹セン
ターがリードして進め,デザイン上の課題解決を図った.
③金具等の副資材に関するノウハウの習得は,企業側で
は幅広い情報の収集が難しいので,竹センターで公設試験
研究機関のネットワーク等を活用し,先進地調査などを行
うと共に,竹センターとグループで協働しながら行った試
作をとおしてノウハウを習得した.
2.
研究の内容
2. 1 強度と構造に関する研究
この研究については,杞柳の産地で柳行李の製造技術か
ら鞄の産地に発展した兵庫県豊岡市の柳と鞄の産業を調
査することによってノウハウを得た.そして,調査によっ
て得たノウハウをいくつかの試作に生かしていく手法で
研究を行なった.柳行李の基本の形態は柳のみで作るが,
持ち運ぶようになるにつれて角や縁の補強が必要になり,
布 や 皮 革 で 強 度 を 持 た せ て 丈 夫 な 製 品 を 作 っ て き た .
(Fi g. 1)
また,現在,「豊岡鞄」として産地ブランドを形成しつ
つある鞄産業において布や化学繊維,皮革などで製造され
るアタッシュケースや旅行鞄など,強度を持たせたものは,
構造を木製(桐や合板)にしているものがあり,その技術
は強度の克服という点で,研究の参考となることが多かっ
た.
Fi g. 1 杞柳の生地の角を革で補強したもの
2. 2 デザインの研究
これまで別府では女性向けのバッグが商品として多く
男性用は作家やクラフトマンが自分用に作るほかは,ほと
んど作られてこなかった.このため,男性用のかばんのデ
ザインにはどのような形態,色彩,雰囲気が求められるの
かを全く一から研究する必要があった.そこで,研究会に
おいて下記のようなテーマでアイデアを出しながらメン
ズバスケットデザインの共通認識を探った.
・メンズバスケットって何?
−共通イメージを作りましょう.
−男性は何を持ち歩いているか.
・自分が使うならどんなバスケットが欲しいか
−今日はスケッチ型ブレーンライティング法
その結果,以下のコンセプトで具体的アイデア展開に取り
組んだ.(Fi g. 2)
Ⅰ,形態のイメージは曲線より直線ラインで
Ⅱ,色彩は渋みを出して黒や濃いグレイや焦げ茶系統で
Ⅲ,常時持ち歩き,かつ,会議やミーティングにも携帯で
きる大きさ
Ⅳ,自分がいつも持ち歩けるような品質と気品が備わって
いること
Fi g. 2 アイデアスケッチ等
2. 3 副資材に関するノウハウの習得
このテーマについてはグループのメンバー が各種工芸
関係情報やかばん企業のカタログなどを入手してきてお
り,その情報を基にして皮革の加工や染色の技術に取り込
むと共に,かばんに合う金具の選定などを進めた.また,
大分市にある唯一の皮革のショップである「大分クラフト
社」の岩津氏から竹素材に合う皮革の選定,必要な道具の
リストアップなど多くのノウハウを伝えていただいた.
3.
研究の結果と考察
3. 1 研究の成果としての試作品
強度や構造の研究及びデザインの研究の結果,いくつか
のユニークな製品試作ができた.(Fi g. 3)
Fi g. 3 7 点の共同研究成果試作品
試作品は男性のメンバーがそれぞれ1点の試作をした.
3つの研究課題のどの点にポイントを置いたかによって
試作の方向性は異なることになったが,テーマは相互に密
接に関係しており,ひとつの成果が研究全体に良い結果を
もたらしたと感じている.今後は,自分自身がモニターに
なり,常に持ち歩いて広く意見を聞くことに努めたい.そ
の実践の上でそれぞれの製品をもう一度この研究会でリ
デザインし,質の高い製品に仕上げて「別府発のメンズバ
スケット製品」として別府竹製品の一つのブランドを築い